水質管理目標設定項目
水質管理目標設定項目は、「1 アンチモン及びその化合物」から「31 ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)」まで(4番、6番、7番及び11番は欠番)の27項目です。
「15 農薬類」については、対象農薬(114種類)から、各水道事業者等がその地域の状況をふまえて、測定を行う農薬を選定し、各農薬の検出値をそれぞれの目標値で除した値を合計して、その合計値が1を超えないことを確認することとされています。東京都水道局では、水源地域の使用実績や毒性などを考慮し、81項目の農薬を水質検査の対象としています。
項目 | 目標値 | 区分 | 説明 | 主な使われ方 |
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1 アンチモン及びその化合物 | 0.02mg/L以下 | 無機物 ・重金属 |
鉱山排水や工場排水などの混入によって河川水などで検出されることがあります。 | 活字、ベアリング、電極、半導体材料 |
2 ウラン及びその化合物 | 0.002mg/L以下 (暫定) |
主に地質に由来して地下水などで検出されることがあります。天然に存在する主要な放射性物質の一つです。 | 原子力発電用核燃料 | |
3 ニッケル及びその化合物 | 0.02mg/L以下 | 鉱山排水、工場排水などの混入やニッケルメッキからの溶出によって検出されることがあり、多くのニッケル化合物は水に溶けるため水質汚染を起こすことがあります。 | 合金、メッキ、バッテリー | |
5 1,2-ジクロロエタン | 0.004mg/L以下 | 一般有機物 | 自然界には存在しない合成化学物質であり、殺虫剤、有機溶剤として使用されます。 | 塩化ビニル原料 |
8 トルエン | 0.4mg/L以下 | 染料、有機顔料などの原料で、シンナー、接着剤などに広く使用されます。大部分は大気中に放出され、水系などへの放出は少ないと考えられます。 | 香料、火薬、ベンゼン原料 | |
9 フタル酸ジ(2-エチルヘキシル) | 0.08mg/L以下 | プラスチック添加剤(可塑剤)などとして使用される有機化学物質です。 | 化粧品、印刷物などの溶剤 | |
10 亜塩素酸 | 0.6mg/L以下 | 消毒 副生成物 |
主に二酸化塩素の使用に伴って処理水中に分解生成物として残留するおそれがあり、次亜塩素酸ナトリウムの分解生成物としても生成されます。 | 漂白剤 |
12 二酸化塩素 | 0.6mg/L以下 | 消毒剤 | 浄水処理過程において主に酸化剤として使用されます。 | セルロース、紙パルプの漂白剤 |
13 ジクロロアセトニトリル | 0.01mg/L以下 (暫定) |
消毒 副生成物 |
原水中の一部の有機物質と消毒剤の塩素が反応して生成されます。 |
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14 抱水クロラール | 0.02mg/L以下 (暫定) |
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15 農薬類 | 1以下 | 農薬 | 水田、畑などで使われる殺虫剤、除草剤などの農薬を対象としています。 | 殺虫剤、除草剤、殺菌剤 |
16 残留塩素 | 1mg/L以下 | 臭気 | 水道法では、衛生確保のため塩素消毒を行うことが定められています。残留塩素とは、水道水の中に消毒効果のある状態で残っている塩素のことをいいます。 | |
17 カルシウム、マグネシウム等 (硬度) |
10mg/L以上 100mg/L以下 |
味 | 水質基準項目に同じ。 | 水質基準項目に示す。 |
18 マンガン及びその化合物 | マンガンの量に関して、0.01mg/L以下 | 着色 | 水質基準項目に同じ。 | 水質基準項目に示す。 |
19 遊離炭酸 | 20mg/L以下 | 味 | 水中に溶けている炭酸ガスのことで、水にさわやかな感じを与えますが、多いと刺激が強くなります。また、水道施設に対し腐食などの障害を生じる原因となります。 | |
20 1,1,1-トリクロロエタン | 0.3mg/L以下 | 臭気 | 工場排水などの混入によって地下水で検出されることがあり、高濃度に含まれると異臭味の原因となります。 | 脱脂剤、エアゾール |
21 メチル-t-ブチルエーテル(MTBE) | 0.02mg/L以下 | 臭気 | オクタン価向上剤やアンチノック剤としてガソリンに添加される有機化学物質です。 | オクタン価向上剤、アンチノック剤、溶剤 |
22 有機物等 (過マンガン酸カリウム消費量) |
3mg/L以下 | 味 | 有機物の指標として水質基準項目の「有機物(全有機炭素(TOC)の量)」とは別の測定法により求めた量です。水中の有機物などの量を一定の条件下で酸化させるのに必要な過マンガン酸カリウムの量として表したものです。 | |
23 臭気強度 (TON) | 3以下 | 臭気 | 臭気の強さを定量的に表す方法で、水の臭気がほとんど感知できなくなるまで無臭味水で希釈し、臭気を感じなくなった時の希釈倍数で臭気の強さを示したものです。 | |
24 蒸発残留物 | 30mg/L以上 200mg/L以下 |
味 | 水質基準項目に同じ。 | |
25 濁度 | 1度以下 | 基礎的性状 | 水質基準項目に同じ。 | |
26 pH値 | 7.5程度 | 腐食 | 水質基準項目に同じ。 | |
27 腐食性(ランゲリア指数) | -1程度以上とし、極力0に近づける | 水が金属を腐食させる程度を判定する指標で、pHや水温等により値が変化します。数値が負の値で絶対値が大きくなるほど水の腐食傾向は強くなります。 | ||
28 従属栄養細菌 | 1mLの検水で形成される集落数が2,000以下(暫定) |
水道施設の健全性の指標 | 生育に有機物を必要とする細菌のことであり、浄水処理の過程における細菌の挙動などの評価に適しています。集落数が少ないほど水道水が清浄な状態であることを示します。 | |
29 1,1-ジクロロエチレン | 0.1mg/L以下 | 一般有機物 | 自然界には存在しない合成化学物質であり、化学合成原料、溶剤、金属の脱脂剤、塗料、ドライクリーニングなどに使用され、地下水汚染物質として知られています。 | ポリビニリデン原料 |
30 アルミニウム及びその化合物 | アルミニウムの量に関して、0.1mg/L以下 | 着色 | 水質基準項目に同じ。 | 水質基準項目に示す。 |
31 ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA) | ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)の量の和として、0.00005mg/L以下(暫定) | 一般有機物 | 有機フッ素化合物の一種で、撥水・撥油性、化学的安定性等の物性を示すため、幅広い用途で使われてきました。一方で、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があり、PFOSは2010年から、PFOAは2021年から国内での製造・輸入等が原則禁止されています。 | PFOS・・・半導体工業、金属メッキ、泡消火薬剤 PFOA・・・繊維、医療、電子基板、自動車、食品包装紙、石材、フローリング、皮革、防護服 |
記事ID:081-001-20240819-006232