水道事業紹介
東京都工業用水道事業(令和5年3月31日事業廃止)
東京都工業用水道事業は令和5年3月31日をもって事業廃止しました。
東京都工業用水道事業の概要
(1)事業の開始
東京都の工業用水道事業は、地盤沈下を防止するため、地下水の揚水規制に伴う代替水を供給する行政施策として、昭和39年8月に江東地区(墨田区、江東区及び荒川区の全域と江戸川区及び足立区の一部 )で給水を開始し、昭和46年4月には、 城北地区(北区、板橋区、葛飾区の全域と足立区の大部分)でも給水を開始しました。
(2)その後の経緯
このように、 工業用水の供給を行うとともに、 地下水揚水規制の強化、揚水規制区域の拡大等が図られた結果、昭和50年代以降、地盤沈下はほぼ沈静化し所期の目的は達成されています。
また、施設の有効活用及び水資源の有効利用を図るため、工業用水の一部を雑用水として、昭和48年度から供給を開始し、さらに、昭和51年度から集合住宅のトイレ洗浄用水としても供給を行っています。
しかし、工業用水の需要は、昭和49年度の基本水量日量36万9,933m3をピークに、 その後、国の産業立地政策や各種公害規制の強化による工場の都外への転出、水使用の合理化の進行等により、減少傾向が続いており、施設能力に大幅な余剰が生じたため、昭和55年3月に南砂町浄水場を廃止するとともに、 昭和58年に三園浄水場の施設能力を日量17万5,000m3に縮小し、昭和62年に江北浄水場を休止しました。
その後も需要量の減少は続き、 料金収入の減少をもたらしました。この間も企業努力を続け、 財政の安定化を図りましたが、 施設の更新時期を迎え、更新経費の増加が見込まれるなど、経営は極めて厳しい状況になりました。
こうした状況を踏まえ、工業用水道事業を今後も安定的に経営していくため、経営改善計画を策定して、平成9年に2地区あった事業の統合や浄水施設の一元化、平成12年に配水施設管理業務の委託、平成16年に徴収業務や給水装置業務を委託するなど抜本的な見直しを図りました。また、 平成10年度から平成17年度までの計画で、国庫補助を活用した改築事業により、施設の更新にも取り組んできました。
(3)事業のあり方に関する検討経過
その後も事業を取り巻く状況は厳しいことが予想されたため、 平成18年7月に行財政改革実行プログラムを策定し、地下水揚水規制や需要の動向等を踏まえ、効率経営を推進しつつ、事業の廃止などを含めた抜本的な経営改革について関係各局で検討を進めてきました。
また、工業用水道事業は様々な問題が輻輳しており、事業の経営改革の方針を決定するには、専門的かつ中立的な立場から多角的に検討を行うことが不可欠であることから、平成26年12月、 外部の専門家で構成された「工業用水道事業のあり方に関する有識者委員会」(以下、「有識者委員会」という)を設置し、検討してきました。
平成30年6月、 有識者委員会報告書が取りまとめられ、工業用水道事業は、地盤沈下防止という所期の目的は達成したが、経営状況が厳しく、施設の大規模更新時期の到来が間近に迫る一方、今後も需要の増加が見通せないことから、廃止すべきとされました。
また、事業廃止に当たっては、事業が行政施策として開始された経緯を踏まえ、お客さまの事業経営等への影響を最小限に留められるよう、 十分な支援策を講じるべきである旨の提言がなされました。
(4)事業の廃止の決定
東京都では、有識者委員会の提言も踏まえ、工業用水道事業については廃止に向けた動きを進めることとし、平成30年7月から、利用者への個別訪問を実施し、上水道への切替えに伴う料金への影響等を説明するとともに、支援策についての意見を伺いました。
こうした意見等も考慮し、平成30年9月、「工業用水道事業の廃止及び支援計画(案)」(以下、「支援計画(案)」という)を策定しました。
また、平成30年第三回都議会定例会において、「東京都工業用水道条例を廃止する等の条例」(以下、「廃止条例」という)の提案にあわせて、支援計画(案)を報告し、上水道への切替えを進め、令和4年度末をもって、工業用水道事業をを廃止しました。
(5)支援計画の実施
工業用水道事業の廃止に当たり、お客さまの事業経営等への影響を最小限にとどめられる よう、平成31年3月に「工業用水道事業の廃止及び支援計画」を策定しました。
今後とも、本計画に沿ってお客さまへの支援を着実に実施してまいります。
工業用水の供給と地盤沈下防止の効果
※事業の詳細はパンフレットをご参照ください。
【参考】パンフレット「東京の工業用水道」(1.40MB)
〔令和3年11月製作〕
東京都工業用水道のあゆみ
東京都の工業用水道事業の財政状況
工業用水道事業のあり方に関する有識者委員会
(東京都 財務局ホームページへ)
「工業用水道事業の廃止及び支援計画」について
トイレ用水に工業用水道が使われていた住宅にお住まいのお客さま
工業用水道料金
工業用水道事業廃止に関する質問
問い合わせ先
総務部 主計課
- 電話: 03-5320-6311
- FAX: 03-5388-1675
- 〒163-8001 新宿区西新宿2-8-1
- 都庁第二本庁舎22階