東京の水道水源
多摩川から利根川へ
これまで100年余りにわたり、東京の水道は増加し続ける水道需要を懸命に支えてきましたが、これは、水源についても同様です。
昭和30年代までは、水源の多くを多摩川水系に依存してきましたが、その後、急激な需要の増加に対応するため、利根川水系の水資源開発に合わせて、利根川水系への依存度を高めてきました。現在、東京都の保有する水源量は日量約680万立方メートルとなっています。
水源の現状
この日量約680万立方メートルの水源の中には、昭和30年代の慢性的な渇水時の対策として、水源開発完了までの間、緊急かつ暫定的に許可を受けているものや、1年ごとの協定締結により分水を受け、締結中においても他県の水事情により減量されるなど、課題を抱える水源が含まれています。
また、将来、気候変動の進行により、大幅な積雪量の減少や融雪時期が早期化すれば、農業用水の需要期に河川流量が減少するため、今まで以上にダムからの水の補給が必要になります。早期に流出する融雪水は、ダムが満水状態に達すると、貯留されず、そのまま放流(無効放流)される可能性があります。
さらに、無降水日の増加が予測されるなど、これまで経験したことのない厳しい渇水の発生も懸念されます。
このような状況の中で、確保した水源は、首都東京の安定給水を継続するため、水道需要への対応はもとより、将来の気候変動による影響も踏まえ、安定化を図るとともに最大限活用していきます。
一方、ダム等の水源開発に協力をしていただいた水源地域の人々への感謝や、水の大切さ及び水を育む森林の大切さについての意識を高めてもらうため、水源地域の人々との相互の交流と認識を深めるなど、理解と協力が得られるよう可能な限りの努力をしています。
また、水道局自らも節水型都市の形成に向けて諸施策を積極的に進めています。
水源の有効活用
現在の水源状況の中で安定給水を確保していくために、水道局では次のような水源の有効活用を図っています。
(1) 利根川と多摩川との原水の相互融通
利根川・荒川系の原水を荒川から取水し、東村山浄水場に揚水するとともに、多摩川系の原水を自然流下により朝霞浄水場へ補給できるようにし、原水の相互融通を行っています。
通常は主に利根川及び荒川の水を利用して、小河内貯水池など多摩川系の水は貯水に努めつつ必要な分を利用していますが、水需要が最も多い夏季や利根川・荒川水系の水質事故時、渇水時などにおいては、多摩川の水を利用するなど、原水の効率的な運用を図っています。
※主に利根川の水を荒川を経由して取水する朝霞浄水場と多摩川の水を羽村取水堰、村山山口貯水池を経由して取水する東村山浄水場とは、延長約17km、直径2.2mの「原水連絡管」で結ばれており、相互に原水を融通しています。
名称 | 有効貯水容量 (万m³) |
総事業費 (億円) |
完成年度 (工期) |
移転した家 (戸) |
---|---|---|---|---|
小河内 貯水池 |
18,540 | 151 | 昭和32(20年) | 945 |
矢木沢 ダム |
17,580 | 119 | 昭和42 ( 9年) |
1 |
下久保 ダム |
12,000 | 202 | 昭和43 (10年) |
321 |
草木 ダム |
5,050 | 496 | 昭和51 (12年) |
230 |
渡良瀬 貯水池 |
2,640 | 821 | 平成2 (18年) |
0 |
奈良俣 ダム |
8,500 | 1,353 | 平成2 (18年) |
0 |
浦山 ダム |
5,600 | 1,833 | 平成10 (27年) |
50 |
滝沢 ダム |
5,800 | 2,300 | 平成22 (42年) |
112 |
八ッ場 ダム |
9,000 | 5,320 | 令和元年 (53年) |
470 |
奈良俣ダム |