水の硬度
水の硬度
石けんの泡立ちやすさや、飲み水の味と関わりが深い硬度について紹介します。
1 硬度とは
主なミネラル分である、カルシウム及びマグネシウムの含有量を表したものです。硬度の低い水は「軟水」といい、硬度の高い水は「硬水」といいます。
2 硬度の値について
水質基準には、安全性の観点から設定されている項目もありますが、その他にも味やにおいなどの観点で設定されている項目もあります。
硬度は、値が高いと石けんの泡立ちが悪くなる等の理由から、日本国内では法令により300mg/L(水1リットル中に炭酸カルシウムとして300mg)以下となるよう基準が設定されています。
また、水質管理設定項目とは、水質基準の他に水質管理上留意すべき項目として定められています。硬度は、おいしさの面から目標値として10~100mg/Lと設定されています。
なお、pHなどの水質条件によっては、硬度が約200mg/Lを超えるとスケール(注1)の付着を引き起こしたり、逆に、約100mg/L以下の水は水道管に対する腐食性を高めたりすることがあります(図1)。
図1 硬度(カルシウム、マグネシウム等)の値について
注1 スケール…水中のカルシウムやマグネシウム等(ミネラル分)が析出したもののことです。加熱などで水分が蒸発することによって発生します(図2)。スケールの発生事例として、電気ポット内、やかんの口、加湿器の口などに付着する白色のものが挙げられます(図3)。
注2 おいしい水の要件…昭和59年に厚生省(当時)が設立した「おいしい水研究会」が示したおいしい水の水質要件になります。硬度の他に、蒸発残留物、遊離炭酸、過マンガン酸カリウム消費量、臭気強度、残留塩素、水温が示されています。
図2 スケール発生のイメージ図
図3 電気ポット内のスケール写真
3 地域による硬度の違い
図4は、日本全国における表流水と地下水の硬度の値別の割合を示した棒グラフです。水道水の硬度は、水源の種類に大きく影響され、一般的に地下水の方が表流水などに比べ、高くなる傾向があります。
図4 表流水と地下水を原水とした全国の水道水の硬度の分布
(出典:(公社)日本水道協会「水道水質データベース 令和元年度水質分布表(給水栓水)平均値」)
欧米のように石灰質の地域を長い時間かけて通ってくる水の硬度は高く、日本のように地中での滞留時間や河川延長が短い場合、硬度は低めになります。
図5 世界の硬度の比較
(出典:左巻 健男著(2000年)「おいしい水・安全な水」日本実業出版社)
東京都水道局で測定している蛇口での硬度の平均値は60mg/L程度です。令和元年度の硬度の試験結果から、最高値は調布市(給水栓No.78)で、最低値は奥多摩町(給水栓No.130)となっています。
硬度の測定結果は水質データページから確認できます。
図6 全国の水道水の硬度の分布と東京都水道局の硬度の比較(令和元年度)
(出典:(公社)日本水道協会「水道水質データベース 令和元年度水質分布表(給水栓水)平均値」)