オゾン処理

 東京都水道局に導入されている高度浄水処理は、オゾン処理に生物活性炭処理を組み合わせたもので、嫌なにおいの元となる有機物やかび臭物質、アンモニア態窒素(塩素と反応することでカルキ臭の原因となる物質)の除去に大きな効果があります。
 このページでは、この高度浄水処理工程の一つである、オゾン処理について紹介します。

1 オゾンとは

 私たちが生きていく上で欠かせない空気中の酸素は、2つの酸素原子からできています。これに対し、オゾンは3つの酸素原子からできています。

 オゾンは、不安定な物質であるため、大気中には、ごく低い濃度でしか存在しておらず、人工的に作る必要があります。

 オゾンは、酸素とは異なり、特有な臭いのある微青色の気体で、強い酸化力を持っているため、水道に限らず様々な分野で、殺菌、脱臭、脱色、有機物の分解などに用いられています。

オゾン分子と酸素分子のイメージ

図1 オゾン分子と酸素分子のイメージ

2 オゾンの生成

 一般的に、高エネルギーの電圧をかける無声放電や紫外線照射により、酸素からオゾンが作られます。東京都水道局の浄水場では、反応効率が高い、無声放電によるオゾン発生装置を使用しています。

 また、オゾンの原料ガスとして空気を用いる方法と酸素を用いる方法があります。酸素を用いる方法は、あらかじめ空気中の窒素を除去する必要がありますが、効率的にオゾンを生成できるため、高濃度のオゾンを得ることができます。

 東京都水道局の浄水場では、東村山浄水場で酸素からオゾンを生成しており、その他の浄水場では空気からオゾンを生成しています。


図2 オゾン発生装置(左:東村山浄水場、右:朝霞浄水場)

3 オゾンの注入

 浄水処理の工程において、オゾン発生器で作られたオゾンは、オゾン接触池で水中に注入しています。東村山浄水場を除く浄水場では、オゾン接触池底部に設置した散気装置からオゾンを放出しています。

 また、東村山浄水場では、当局が開発した下降管並流接触方式を世界で初めて導入しており、接触槽内部の下降管を通過する水にオゾンを注入することで、限られた面積で効率よくオゾン処理を行っています。


図3 オゾン接触池内の様子(金町浄水場)


図4 東村山浄水場の下降管並流接触方式(左:模式図、右:オゾン接触槽下部の様子)

 オゾンは高濃度では人体に有害であり、人の健康を保護し及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましいとされる「環境基準」では、オゾンは、光化学オキシダントとして0.06ppm(ppmは100万分の1を表す単位)以下とされています。

 そこで、オゾン接触池で水に溶けなかったオゾン(排オゾン)は、そのまま大気中に放出するのではなく、排オゾン処理装置と呼ばれる装置で触媒などを用いて酸素に分解しています。

4 オゾン処理

 オゾンの強い酸化力で、水中にある有機物(かび臭物質、色の素となる物質、農薬など)が分解されます。その際、水に溶けたオゾンは、水中の有機物を分解する反応に使われたり、自然に分解したりして、最終的には酸素に戻ります。

 なお、分解された有機物は、オゾン処理の次の工程である生物活性炭処理によって、除去されます。

 有機物の分解に利用されずに水中に残ったオゾンは、次の生物活性炭処理において、活性炭と反応して酸素に戻るため、浄水場から出て行く水道水中にオゾンが残っていることはありません。

分解された有機物は、生物活性炭で処理されます。
図5 有機物の分解

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