緩速ろ過
浄水処理の中には、微生物が水をきれいにする働きを利用した緩速ろ過という処理があります。このページでは緩速ろ過について説明します。
緩速ろ過とは
ゆっくりした速度でろ過池の砂層に水を通し、生物ろ過膜(砂層の表層部で微生物を繁殖させたもの)の浄化作用で水をきれいにする方法です。
ろ過池を通る水の速度が急速ろ過と比較して小さいことから、「急速ろ過」に対して「緩速ろ過」と呼ばれます。
急速ろ過と比較すると、ろ過速度が遅いため、同じ量の水を処理しようとすると広大なろ過池面積が必要となります。
表1 処理方式によるろ過速度の違い
比較的水質が良好で、水質の変化が少ない水の処理に適しており、東京都では、境浄水場や多摩地区の浄水施設一部でこの方法が用いられています。
この処理方法の特徴は、微生物によってかび臭原因物質などの溶解成分が分解され、砂や砂利によって濁りが除去されることです(図3)。
長い期間ろ過を続けていると、生物ろ過膜が目詰まりしてしまい水の通りが悪くなるため、20~40日に一度、ろ過池の砂層表面を1cmほど削り取る作業が必要になります(図4)。