昔と今の水質比較
最近の水道水はおいしくなったという話を聞いたことはありませんか?それは昔に比べて水道水の水質が向上しており、おいしいと感じる方が増えているためです。
このページでは、原水(浄水処理を行う前の水)及び浄水(原水を浄水処理した後の水)の水質向上について、昔と今の水質データを比較して紹介します。
1 原水の水質向上
平成初期頃までは、水道水源の保全に関する法制度が十分に整備されておらず、水源汚染事故が頻発していました。
そこで、水源の汚染問題に対処するため、平成6年に水源二法(「特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法」及び「水道原水保全事業の実施の促進に関する法律」)が施行されました。このような法整備もあり、水源水質保全事業が効果的に実施されるようになりました。
実際の原水水質データ(東京都水道局金町浄水場)における推移を見てみたいと思います。ここでは、水のおいしさに関係するアンモニア態窒素(塩素と反応することでカルキ臭の原因となる物質)及び2-メチルイソボルネオール(かび臭原因物質)の2つを例にします。
図1の原水におけるアンモニア態窒素濃度については、昭和59年以降、流域の下水道整備や流水保全水路の整備等により下降傾向が見られます。
図1 アンモニア態窒素 年平均値(金町浄水場原水)
また、図2の2-メチルイソボルネオールについても同様の傾向が見られ、平成12年度以降の年平均値は、正確に定量できる分析値の最小値である定量下限値未満となっております。
よって、これらの推移からも原水水質は向上していることが分かります。
図2 2-メチルイソボルネオール 年平均値(金町浄水場原水)
(※定量下限値未満は0としている)
2 浄水の水質向上
平成初期頃は、原水水質が良くなかったことに加えて、異臭味に対処する浄水処理技術の確立や高度浄水施設の整備がされていなかったことなどもあり、水の味(おいしさ)に関するお客さま満足度が高くありませんでした。
そこで、東京都は臭気物質除去等による安全でおいしい水を作ることを目的として、平成4年から平成26年にかけて利根川水系の浄水場に高度浄水処理の導入を進めました。その結果、当局が実施したお客さまへのアンケート調査では水の味(おいしさ)に関するお客さま満足度が大きく上昇する結果となりました。(図3)
原水水質の向上に加え、高度浄水施設の整備等により浄水水質が向上したため、お客さまには安全でおいしい水を提供することができています。
図3 水の味(おいしさ)に関するお客さま満足度
(※お客さまへのアンケート調査より作成。令和2年度は調査実施なし。「満足」とは、「満足」及び「やや満足」と回答したお客さまの割合を示す。)