トピック第21回 水をきれいにする生物
トピック第21回 水をきれいにする生物

川や湖などには、魚や水草などから、細菌など目に見えない微生物まで、さまざまな生物が住んでいます。
こうした生物の中には、水をきれいにしてくれるものがたくさんいます。
今回のトピックでは、これらの一部を紹介していきます。
生物による川の浄化作用とは?
有機物を比較的多く含む川では、川底の石に微生物が付着していて、石の表面に膜(「生物膜」といいます)を作っています。この微生物は、水中の有機物を取り込んで分解し、栄養にしています。川に流れ込んだ生活排水などは、このような微生物による浄化作用により、少しずつ分解されてきれいになっていきます。
亜硝酸菌と硝酸菌
下水や生活排水が流れ込んで川を汚染すると、水中のアンモニア(注1)の濃度が高くなります。
アンモニアは、アンモニアをえさにする細菌によって酸化され亜硝酸(注2)という物質に変化し、亜硝酸が細菌によりさらに酸化されると硝酸(注3)という物質に変化します。このようにアンモニアや亜硝酸の酸化によりエネルギーを得ている細菌を亜硝酸菌や硝酸菌といい、これらは水の浄化に役立っています。
(注1)アンモニア | ・・・ | 水の汚れの指標となっています。また、消毒用の塩素によって、アンモニアは別の物質に変化しますが、変化したものは、「カルキ臭」の原因となります。※詳しくは、第八回「水のにおい」へ |
(注2)亜硝酸 | ・・・ | 水の汚れの指標となっています。生活排水、下水、肥料などに含まれるアンモニアなどが変化することによって発生します。 |
(注3)硝酸 | ・・・ | 微生物によって分解されて窒素へと変化したり、水生植物に吸収され、養分のもととなっています。 |
微生物のはたらきを水の浄化に応用している例
【浄水処理への応用例】
現在当局で導入している高度浄水処理では、生物活性炭処理を行っています。これは、活性炭の吸着作用に加え、活性炭に付着した微生物によって水中の有機物やアンモニアを分解し、汚濁物質を除去するものです。 ※詳しくは、第十四回「生物活性炭処理」へ
【河川浄化への応用例】
礫間接触酸化法とは、礫の表面に付着している微生物を利用した浄化方法です。礫を敷き詰めた水路に汚れた水を通すと、汚濁物質が礫の間に沈殿するとともに微生物が有機物を分解し、水がきれいになります。日本では、江戸川にある古ヶ崎浄化施設でこの浄化方法が採用されています。