ホルムアルデヒド等の除去
ホルムアルデヒド等の除去
平成24年5月に発生した利根川水系のホルムアルデヒドに関する水質事故は、利根川水系における1都4県の浄水場に近年にない大きな影響を与えました。
一部の浄水場において、取水・給水停止等の措置が取られましたが、高度浄水処理を導入している浄水場では、安全な水道水を送ることができました。
このページでは、高度浄水処理によるホルムアルデヒド等の除去について紹介します。
1 事故の概要
今回の事故の原因となった物質は、塩素と反応してホルムアルデヒドを作り出すヘキサメチレンテトラミン(以下、「HMT」という。)という化学物質でした。
HMTはプラスチックやゴム製造時の硬化剤や、医薬品の原料として使用される化学物質です。
今回の事故の原因は、HMTを含む廃液が十分に処理されずに河川に排出されたことです。その水が浄水場で取り入れられ、消毒のために注入している塩素と反応してホルムアルデヒドが作り出されてしまいました (図1)。
図1 ホルムアルデヒドが作り出される流れ
2 高度浄水処理による処理
高度浄水処理によるホルムアルデヒド等の処理性を調べるため、小型の実験施設で実験を行いました。
その結果、HMTはオゾン処理で90%程度、生物活性炭(Biological Activated Carbon)処理(以下、「BAC処理」という。)で75%程度、オゾン+BAC処理で100%処理できました。一方、ホルムアルデヒドはオゾン処理では分解されませんが、BAC処理でほぼ100%処理できることが確認されました(図2)。
図2 高度浄水処理による処理性
このように、原水中に含まれるHMTはオゾン+BAC処理で100%処理されるため、その後に消毒のための塩素を添加しても、ホルムアルデヒドは作り出されません(図3)。
また、原水中にホルムアルデヒド自体が含まれている場合も、BAC処理で100%処理できます。
図3 高度浄水処理によるHMT処理の流れ