(H20)将来にわたる安全でおいしい水の安定的な供給

施策 平成20年度の主な実施内容 評価

(1)安定給水

計画

①安定した水源の確保

 

②危機管理対策の一層の推進

  • 浄水場の耐震強化等
  • 送配水管のネットワークの強化
    多摩丘陵幹線、東南幹線等の整備
  • 経年管・初期ダクタイル管の取替え
経年管取替え
初期ダクタイル管取替え
52km
75km
  • 三次救急医療機関・首都中枢機関等への供給ルートの耐震強化
取替え 11km
  • 給水所等の新設・拡充
 東海給水所、大谷口給水所等
  • 大口径給水管の耐震強化
給水栓数 608栓

③大規模水道施設の更新に備えた取組

  • アセットマネジメント手法※1の導入
  • 大規模浄水場更新積立金の創設
 

※1 アセットマネジメント手法
 施設の機能や劣化状況を長期的に評価し、更新時期の平準化と総事業費の縮減を図るための資産の管理手法

〔安定した水源の確保〕 
 ◆国土交通省及び独立行政法人水資源機構により、水源施設の建設が進められています。
 今後、八ッ場ダムなどの水源施設が完成することにより、水源確保率が向上します。

 

〔危機管理対策の一層の推進〕
◆浄水場・給水所等における耐震強化及び自家用発電設備整備により、震災時や事故時等における給水の安定性が向上します。

 

◆平成20年度の配水池耐震施設率は50%で、前年度よりも11ポイント改善しました。

 

◆送配水管ネットワークを強化していくことで、震災時や事故時等における給水安定性が向上します。

 

◆経年管・初期ダクタイル管を耐震継手管に取り替えることにより、震災時の被害や漏水及び濁り水の発生が低減されます。また、三次救急医療機関・首都中枢機関等への供給ルートの耐震強化により、震災時においても、これらの重要施設への給水の安定性が向上します。

 

◆平成20年度末までの経年管の解消率は98%、初期ダクタイル管の解消率は16%で、それぞれ前年度よりも1ポイント、4ポイント改善しました。

 

◆給水所等の新設・拡充により、震災時や事故時等における給水の安定性が向上します。

 

◆大口径給水管の耐震強化により、震災時における給水の安定性が向上します。

 

〔大規模水道施設の更新に備えた取組〕
◆アセットマネジメント手法の導入によって、水道施設の状態を把握し、膨大な水道施設における維持管理の効率化及び施設更新の平準化を図ることができます。

 

◆おおむね10年後の平成30年以降、大規模浄水場が集中的に更新時期を迎えることとなります。 安定給水を確保しながら、着実に施設更新を進めていくためには更新に先行し代替施設を整備する必要があります。この代替施設の整備を見据えた施策として積立てを実施することにより、経費の確保と平準化を図ることができます。
 今後も、「大規模浄水場更新積立金」として自己財源を確保していくとともに、国に対して水道施設の更新・再構築事業に対する国庫補助制度の拡充や、更新資金をストックするためのルール化について提案要求を行う予定です。

実績

〔安定した水源の確保〕
◆八ッ場ダム、滝沢ダムなどの水源施設の建設を進め、滝沢ダムについては水源量を確保することができました。

 

〔危機管理対策の一層の推進〕
◆浄水場・給水所等において耐震化工事を実施し、朝霞浄水場配水池、八坂給水所配水池等の耐震化が完了しました。
 また、広域停電時においても、必要な給水を確保するため、東大和給水所の自家用発電設備の整備を進めています。

 

◆送配水管のネットワークの強化に向けて、多摩丘陵幹線第二次整備区間(拝島ポンプ所(仮称)〜鑓水小山給水所)、東南幹線の整備を進めています。

 

◆経年管・初期ダクタイル管の取替えは、経年管43km、初期ダクタイル管112km、合計155kmの耐震継手管への取替えを実施しました。

 

◆三次救急医療機関・首都中枢機関等への供給ルートの耐震強化では、4kmの耐震継手管への取替えを実施しました。

 

◆東海給水所(大田区)、大谷口給水所(板橋区)等の整備を進めています。

 

◆大口径給水管(75mm以上の給水管)の耐震化を493栓実施しました。

 

〔大規模水道施設の更新に備えた取組〕
◆アセットマネジメント手法の導入に向け、施設点検マニュアルを作成し、水道施設の点検を実施しました。 また、点検結果を用い、一部施設において、劣化予測、ライフサイクルコスト分析等の評価を行いました。

 

◆平成19年度に「大規模浄水場更新積立金処理要綱」を策定し、平成20年度の利益剰余金のうち50億円を更新費用の積立金として、平成19年度に引き続き計上しました。

(2)安全で
おいしい水の
供給

計画

①高度浄水処理の着実な導入

三園浄水場
:日量 30万m³
東村山浄水場
:日量 88万m³
金町浄水場
:日量 150万m³
朝霞浄水場
:日量 170万m³
三郷浄水場
:日量 110万m³
 

②水質管理の徹底

  • 残留塩素の低減化
    給水所への追加塩素注入設備の導入
  • 水安全計画に基づく水質管理

〔高度浄水処理の着実な導入〕
◆高度浄水施設の整備により、高度浄水処理率が向上し、より一層安全でおいしい水をお届けすることができます。

 

〔水質管理の徹底〕
◆追加塩素設備を導入した第二板橋給水所の配水区域では、おいしい水の水質目標(残留塩素)の達成率が、平均で18%から45%に向上しました。
 今後も、追加塩素注入設備を導入し、残留塩素の低減化や平準化を進めていきます。また、残留塩素の挙動調査の結果を基に、自動水質計器における、より適切な残留塩素管理目標値を設定していきます。また、貯水槽水道の調査結果を基に、貯水槽水道の残留塩素の目標値の設定や貯水槽水道の適正管理の徹底を図っていきます。

 

 ◆「TOKYO高度品質プログラム」を運用することで、浄水場(所)においてISO9001 に準じた品質管理を徹底するとともに、 水道水質に悪影響を及ぼす可能性のある危害の発生時には、水安全計画に基づく管理対応措置を実施して、影響を未然に防止することができます。
 これらによって確保された水道水の高いレベルの安全性とおいしさを、ISO/IEC17025の高い精度の水質検査で確認することができます。

 

 ◆また、「TOKYO高度品質プログラム」の運用開始後、PDCAサイクルによって内容の見直しを行っています。 これにより、将来にわたって東京水道の高い技術力の維持・向上を図ります。

 

 ◆今後も、「TOKYO高度品質プログラム」を着実に運用することで、より高いレベルの水道水の安全性とおいしさを実現するとともに、水道水への信頼性の更なる向上に努めていきます。

実績

〔高度浄水処理の着実な導入〕
◆東村山浄水場では、高度浄水施設築造工事等を実施しました。
◆金町浄水場では、高度浄水施設の基礎工事等を実施しました。
◆朝霞浄水場は、高度浄水施設の建設に伴う既存施設の撤去工事を実施しました。
 ◆三郷浄水場は、高度浄水施設の建設に伴う既存施設の移設工事を実施しました。

 

〔水質管理の徹底〕
◆平成19年10月に第二板橋給水所、平成21年3月に東海給水所へ追加塩素設備を設置しました。
  第二板橋給水所の追加塩素注入設備については、設置後に行った塩素混合状況や最適制御方法の調査結果を踏まえ、平成20年7月に運用を開始しました。
 また、自動水質計器周辺の給水栓における残留塩素の挙動調査を実施しました。この結果を踏まえて、残留塩素低減化に向けた自動水質計器の管理目標値見直しについて検討しました。

 

◆平成19年度に策定したTOKYO高度品質プログラムの運用を開始しました。

(3)蛇口回帰に向けた取組

計画

①貯水槽水道の適正管理及び直結給水化の普及・促進

 

②公立小学校の水飲栓直結給水化モデル事業

 

③水道キャラバンの実施

〔貯水槽水道の適正管理及び直結給水化の普及・促進〕
◆「クリーンアップ!貯水槽」は、都営水道給水区域内にある貯水槽水道を点検調査するもので、平成16年度から開始し、平成20年度までの5年間で合計約15万件の現場点検調査を完了させることができました。
 なお、点検調査の結果、管理不備であった貯水槽水道に対しては、再調査(フォローアップ)を行っています。平成20年度は、2,977件の現場点検調査を実施し、未改善であった692件については、再度、指導・助言を行いました。こうした取組により、貯水槽水道のより適正な管理を徹底することができました。再調査については、平成21年度までに完了させる予定です。

 

◆直結給水方式の普及・促進を図るため、貯水槽水道の設置者に対し、点検調査時に直結給水のメリットをPRするとともに、 直結切替え見積りサービスの紹介をしています。 平成20年度の直結切替え見積りサービスの申込件数のうち、145件が直結切替え工事を完了しました。このことにより、安全でおいしい水を直接蛇口までお届けすることができます。

 

〔公立小学校の水飲栓直結給水化モデル事業〕
◆実施校におけるアンケート結果では、教職員の方々の「水道水に満足している」割合が3割から6割へ増加し、 また学校で水道水を飲む児童が9割を超えるなど、学校の関係者の方から高い評価を頂いています。

 

〔水道キャラバンの実施〕
水道キャラバンは、水道の大切さを題材とした演劇、映像、実験を取り入れることで、 授業手法を工夫し、また、内容も水道水を作るという説明以外に、自然の恵み、安全でおいしい水を作るための努力、健康との関係、など色々な視点を交えながら、オリジナル性の高いものとしています。
 こうした取組により、児童からのアンケートでは、「面白く分かりやすかった。」「蛇口までどのようにしてくるのかがわかった。」 「水の大切さや安全性がわかった。」などの声が寄せられており、大変な好評をいただきました。
 平成21年度も実施規模を拡大していくために、授業内容を見直し、実際に浄水工程に携わる職員の話を映像に複数取り入れるなどの改善を図りました。また、教員に広く認知されるように教育雑誌への広告掲載など、創意工夫し取り組んでいきます。

実績

〔貯水槽水道の適正管理及び直結給水化の普及・促進〕
◆貯水槽水道の適正管理を促すとともに直結給水方式※2への切替えの普及・促進を図るため、平成16年9月から「クリーンアップ!貯水槽」を実施しており、平成20年度は、約3.2万件の貯水槽水道を対象に点検調査を実施しました。
 なお、平成19年4月からは、直結切替え工事費の見積りを無料で行う「直結切替え見積りサービス」を開始しており、平成20年度は1,153件の申込みがありました。

 

 ◆平成20年度の直結給水方式の導入状況は、次のとおりです。

  • 増圧直結給水方式
    3,419件
    (新設:2,479件、既存切替:940件)
  • 特例直圧直結給水方式
    1,387件
    (新設:543件、既存切替:844件)
  • 三階までの例外直圧直結給水方式
    763件(既存切替のみ)
 

※2 直結給水方式
 貯水槽を経由せずに、配水管から直接ビルやマンションなどの各階に給水する方式

 

〔公立小学校の水飲栓直結給水化モデル事業〕
 ◆公立小学校の水飲栓直結給水化モデル事業は、平成20年度までに129校※を実施しました。
※施工実施校数は延べ130校。このうち1校については、2箇年に分けて工事を実施しました。

 

〔水道キャラバンの実施〕
◆都営水道給水区域における小学校4年生を中心に、水道に関して正しい知識を持ってもらうことで、「水道水のおいしさ・安全性」 「大切さ」などの理解を深めてもらうため、希望する小学校にキャラバン隊による訪問授業を実施しています。
 平成20年度は、787校、延べ約56,000名の児童のみなさんに水道キャラバンを受講していただきました。

目標管理も併せてご覧ください。

図
送水管ネットワークの整備概念図

写真
東村山浄水場高度浄水施設築造工事

記事ID:081-001-20240819-006500