(H19)効率的で責任のある運営体制の構築など経営基盤の強化

施策 平成19年度の主な実施内容 評価

(1)水道局及び監理団体による一体的事業運営体制の構築

計画

一体的事業運営体制の構築、監理団体に対する指導監督の強化等

 平成18年度に決定した「一体的事業運営体制の構築について」の基本方針に基づき、一体的事業運営体制を順次構築し、準コア業務※5の監理団体への業務移転と定型業務の民間委託を推進しました。

 多摩地区では、平成19年度末までに給水装置業務(11市町)、施設管理業務(3市町)、徴収整理業務(15市町)、サービスステーション運営業務(8箇所)、お客さまセンター運営業務(25市町)について、東京都監理団体に委託しました。
  区部では、浄水場の運転管理業務を東京都監理団体に委託し、徴収業務及び検針業務の民間委託の範囲を拡大しました。
  こうしたことにより、公共性を確保しつつ、経営のより一層の効率化を図ることができます。

 東京都監理団体について、経営評価及び役員業績評価制度に基づく評価を実施し、公益的視点に基づいた計画的な事業運営並びに更なる透明性及び公正性の確保の観点から指導監督を行いました。
  こうしたことにより、指導監督を徹底するとともに、情報公開の充実を図っていくことができます。

※5 準コア業務
民間事業者に委託した業務の監督指導や施設の運転など、これまで民間委託がなじまない業域とされていた業務等の事業運営上重要な業務。

実績

 多摩地区では、給水装置業務(6市町)、施設管理業務(1市)、徴収整理業務(8市町)、サービスステーション運営業務(3箇所)及びお客さまセンター運営業務(18市町に対象市町を拡大)を東京都監理団体※4に新たに委託しました。
  区部では、砧浄水場外1箇所の運転管理業務を東京都監理団体に委託するとともに、徴収整理業務及び検針業務の民間への委託範囲を拡大しました。

 東京都監理団体については、中期経営計画の見直しを行うとともに、経営評価制度・役員業績評価制度に基づく評価を実施しました。
  また、情報公開の充実を継続するとともに、外部監査の導入に向けての調整等を行いました。

※4 東京都監理団体
東京都が出資または出えんを行っている団体及び継続的な財政支出、人的支援を行っている団体のうち、全庁的に指導監督を行う必要があるもの。
 水道局が所管する東京都監理団体は、平成20年3月現在、東京水道サービス株式会社、株式会社PUCの2団体。

(2)多様な経営管理手法の活用

計画

①業務指標を活用した目標管理

②外部の専門的意見の反映

③PR施設への指定管理者制度(代行制)の導入の検討

④技術の継承(ナレッジマネジメントシステム)の構築

〔業務指標を活用した目標管理〕
  事業評価を実施、公表することで都民の方々へ説明責任を明確にするとともに、事業への反映を図っています。
  朝霞浄水場の高度浄水施設(第二期)の事業評価では、費用便益比※7が2.48となりました。事業の投資効率性を判断する費用便益比は、1.0以上であることが原則とされていますので、本計画が効果のある事業として判断できます。

 都独自の業務指標については、各指標に対する計画年度・数値を設定しており、実績値を算出、比較をすることにより、目標管理を行っています。
  平成18年度実績値は、多くの項目において、計画値を上回り、目標達成に向けて順調に推移しています。

 水道事業ガイドラインに示された業務指標を算出することにより、経営状況等について的確に把握することができるとともに、公表することによって、お客さまにより一層理解していただくことができます。
  平成19年度には、一部指標の算出方法の適正化を図りました。

〔外部の専門的意見の反映〕
  「東京都水道事業経営問題研究会」及び「東京都水道局運営体制諮問委員会」を開催し、専門的・実務的な視点に基づいた評価・助言を経営に反映させることで、公共性の発揮や一層の経営の効率化を図ることができます。

※7 費用便益比
事業に要する費用の総計に対する事業により生み出される社会的な効果を貨幣価値に換算したもの(便益)の比率。

実績

〔業務指標を活用した目標管理〕
  朝霞浄水場高度浄水施設(第二期)の事業評価を実施、公表しました。

 平成18年度の実績について、独自の業務指標により、算出、公表するとともに水道事業ガイドライン※6に示されている業務指標についても、算出、公表しました。 

〔外部の専門的意見の反映〕
  学識経験者などから構成される「東京都水道事業経営問題研究会」を開催しました。(第18回 平成19年7月3日、第19回 平成20年1月29日)。

 弁護士、公認会計士及び民間企業経営層からなる「東京都水道局運営体制諮問委員会」を開催しました。(第3回 平成19年4月24日、第4回 平成19年7月13日、第5回 平成20年2月6日)。

※6 水道事業ガイドライン
平成17年1月にISO(国際標準化機構)による水道サービスの国際規格化の流れを受け、社団法人日本水道協会が策定。
「安心」、「安定」、「持続」、「環境」、「管理」、「国際」の六つの分類による137の業務指標を設定。

(2)多様な経営管理手法の活用

実績

〔PR施設への指定管理者制度(代行制)の導入の検討〕
  PR施設については、より一層効率的運営を目指すとともに、局の事業展開や他の広報施策に対応した企画を実施し、より魅力ある広報拠点としていく必要があります。この運営方法のあり方について、多角的に検討しています。

〔技術の継承(ナレッジマネジメントシステム※8)の構築〕
  水道技術の着実な継承に資するため、平成19年4月からナレッジバンク(局内イントラネット)の運用を開始しました。
  運用開始後も引き続き、技術情報の充実や操作性の向上などシステム面の拡充を図り、利用促進に取り組んでいます。
 

また、(集合)研修においても、予習・復習や講義中の説明の際に活用しています。

※8 ナレッジマネジメントシステム
水道局が保有する技術やノウハウを共有資産として有効活用していく経営手法

〔PR施設への指定管理者制度(代行制)の導入の検討〕
  PR施設としての魅力向上と運営の効率化との両立という目標を達成するために、柔軟な検討を行っています。
  施設の目的に照らして、より適切な運営形態を構築し移行できるよう、引き続き、検討を進めていきます。
  なお、PR施設については、展示物や設備の老朽化等の課題を解決し、より魅力的な展示内容とするための再整備事業も進めています。

〔技術の継承(ナレッジマネジメントシステム)の構築〕
  貴重な水道技術を着実に継承していくための動画資料を作成しました。運用開始時は10種類のテーマで合計27本登録されていた動画が、24種類のテーマで合計69本に増加しました。
 
  今後も、技術情報を集約し、拡充を図るとともに、「ナレッジバンク」を研修等で活用し、人材の育成の一助になるよう努めていきます。

(3)資産の有効活用等

計画

資産の有効活用等
 「資産バンクシステム」の活用
 資産利活用の推進

 資産バンクシステムにより、公法上の規制などの各種属性情報がデータ化されたことから、事務作業の迅速化が可能となりました。
  今後も、より一層の効率化のため、情報の充実及び精査を進めていきます。

 当局が所有する資産の利活用を推進していくために、様々な手法を検討、実施しました。
  その結果、未利用地・未利用庁舎の貸付による収益が約4,500万円、東京都内部及びその他地方自治体等の公共事業地としての移管並びに民間への売却による収益が約16億8,000万円となり、局財政に寄与することができました。
  今後も、さらに利活用の手法を検討し、未利用施設等の活用を進めていきます。

実績

 水道局の土地、建物の情報を一元的に管理する「資産バンクシステム」を活用するとともに、全庁的な都有財産利活用推進施策と連携し、より一層有効な資産管理を進めました。
  また、公法上の規制、現況を照会し、利活用の可能性が高い土地を検索し、候補地の発掘を推進しています。 

 資産の利活用の推進として

  • 境浄水場隣接地(面積約6,000㎡)における共同ビル事業
  • 旧宮園漏水防止出張所用地における事業用定期借地権の設定による用地活用
  • 旧北部第一支所ほか1件の5年間の建物賃貸借契約の締結
  • 旧多摩水道改革推進本部用地ほか12件を公共事業敷地としての移管及び民間への売却
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