「東京水道経営プラン2013」に掲げた施策

2 震災対策

現状と課題

 一昨年発生した東日本大震災では、想定を超える大規模な地震や津波が被災地に甚大な被害をもたらしただけでなく、震源から遠く離れた東京においても、地盤の液状化による被害や多くの帰宅困難者が発生しました。

 水道局は、これまで平常時はもとより、震災時などにおいても可能な限り給水を確保するため、施設の耐震化やネットワーク化に取り組んできましたが、電力不足に伴う計画停電などの過去に経験したことのない二次的災害により断水被害が発生するなど、様々な課題が顕在化しました。

 こうした状況を踏まえ、都は平成24年4月「首都直下地震等による東京の被害想定」により従来の被害想定の見直しを行いました。加えて、平成24年11月には「東京都地域防災計画」を修正し、自助・共助・公助を束ねた地震に強いまちづくりなどの視点から、着実に東京の防災力を向上させているところです。

 水道局においても、応急給水体制の充実や被災後の早期復旧を目指し、地震に強い水道の実現のため、ハード、ソフト両面から今までの取組を加速させることが求められています。

平成25年度の主な実施内容

(1)防災機能のさらなる強化

①導水管の二重化及び送水管ネットワークの強化(再掲)
計画 実績
  • ・導水管は、朝霞東村山原水連絡管の二重化を引き続き推進するとともに、境浄水場への代替浄水施設整備に併せ、既存導水管(第一村山線)の二重化を推進
  • ・第二原水連絡管(第二朝霞東村山線(仮称))整備の工事を実施
    ※「朝霞東村山原水連絡管の二重化」から名称変更
  • ・東村山境線(仮称)整備の設計を実施
    ※「第一村山線の二重化」から名称変更
  • ・送水管は、朝霞上井草線の二重化や多摩丘陵幹線、多摩南北幹線等の整備を推進
  • ・多摩丘陵幹線整備の工事を実施
  • ・多摩南北幹線整備の工事を実施
  • ・第二朝霞上井草線整備の設計を実施
    ※「朝霞上井草線の二重化」から名称変更
  • ・境浄水場関連送水管整備の設計を実施
評価
  • ・導水管の二重化を着実に進めています。
  • ・多摩丘陵幹線整備、多摩南北幹線整備の工事など、送水管のネットワーク化を着実に進めています。
  • ・これらの取組により、災害や事故時だけでなく、更新等の工事の際にもバックアップ機能が確保されます。
②水道施設の耐震化
計画 実績
  • ・取水から給水に至る水道システム全体の耐震化を推進
  • ・村山上貯水池堤体強化の設計を実施
  • ・砂川線耐震化の工事を実施
  • ・水資源機構が武蔵水路改築事業の工事を実施
  • ・浄水施設の耐震化を推進
  • ・練馬給水所耐震補強の工事を実施
  • ・鑓水小山給水所耐震補強の設計を実施
  • ・江東給水所耐震補強の設計を実施
  • ・晴海給水所、上水南浄水所、程久保給水所、東大和給水所の耐震補強が完了
  • ・配水池耐震施設率67%
評価
  • ・水道施設の耐震化を着実に進めています。
  • ・これらの取組により、大規模地震が発生した場合においても水道施設の被害を最小限にとどめ、給水が確保されます。
③管路の耐震化
計画 実績
  • ・水道管路の耐震継手化10ヵ年事業の推進
  • ・配水管の耐震継手化を実施
     耐震継手化延長 661㎞
     管路の耐震継手率35%
  • ・避難所等の給水管耐震強化を実施
     耐震化栓数 371栓
     避難所・主要な駅の給水管耐震化率31%
  • ・空気弁取替事業の推進
  • ・私道内給水管整備事業の推進
  • ・空気弁取替を実施
  • ・私道内給水管整備を実施
     耐震化延長 69㎞
     私道内給水管耐震化率35%
評価
  • ・管路の耐震化を着実に進めています。
  • ・これらの取組により、震災時においても断水被害の軽減や早期の復旧が可能となります。

(2)電力確保に向けた取組

①自家用発電設備の増強
計画 実績
  • ・整備中の東村山浄水場に引き続き、三郷浄水場に2万キロワット規模の常用自家用発電設備を導入するなど、順次整備を実施
  • ・東村山浄水場の自家用発電設備の増強の工事を実施
  • ・三郷浄水場の自家用発電設備の増強(一期整備)の設計を実施
  • ・多摩地区の浄水所、給水所等の自家用発電設備の増強の工事を実施
  • ・拝島給水所、高月給水所、芝久保浄水所、美山配水所、養沢第二増圧ポンプ所、養沢第三増圧ポンプ所の自家用発電設備の増強が完了
  • ・大規模停電時における給水確保率58%
評価
  • ・東村山浄水場の増強工事など、自家用発電設備の増強を着実に進めています。
  • ・これらの取組により、電力事情に左右されないように電力の自立化が図られます。
②配水本管テレメータ等の電源確保
計画 実績
  • ・配水本管テレメータへのバッテリー設置
     約310か所(平成25年度以降順次整備)
  • ・自動水質計器へのバッテリー設置
     約130か所(平成25年度以降順次整備)
  • ・テレメータ28か所のバッテリー設置が完了
     テレメータ42か所のバッテリー設置工事に着手
  • ・自動水質計器68か所のバッテリー設置工事に着手
評価
  • ・大規模停電時においても水運用に必要なデータの収集・把握が可能になるよう、配水本管テレメータ等へのバッテリーの設置を進めました。
  • ・これらの取組により、震災時における給水の安定性を向上させています。

(3)応急体制の充実

①消火栓・排水栓の活用
計画 実績
  • ・消火栓等を活用した応急給水資器材の貸与
  • ・500セットを区市町に配布、26・27年度2100セット配布に向けた調整
評価
  • ・応急給水拠点での応急給水活動の補完として、区市町職員等が消火栓・排水栓で応急給水を行えるように、応急給水用資器材の貸与を計画どおり進めました。
②応急給水拠点の改造
計画 実績
  • ・応急給水拠点の改造
  • ・改造工事の施工(48か所)
  • ・覚書締結(多摩15市町、都外等1市)
評価
  • ・職員の参集を待たずに地域住民自らが応急給水を容易に行えるように、水道施設の改造を行い、整備が完了したところから順次、地元区市町との覚書を締結しました。
③危機管理対応力の向上
計画 実績
  • ・消火栓等を活用した応急給水方法の周知
  • ・消火栓等や資器材を使用した40区市職員への応急給水訓練を実施
  • ・拠点給水訓練の実施
  • ・拠点給水訓練については、地元市区町職員や住民を対象に、40回実施
評価
  • ・市区町職員や住民等が自ら円滑な応急給水が行える体制を構築するため、消火栓等を活用した応急給水訓練や、改造した施設による応急給水訓練を実施しました。

目標管理も併せてご覧ください。

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