「東京水道経営プラン2016」に掲げた施策
Ⅰ 基幹ライフラインの運営
Ⅰ-1安定(24時間常時供給)
平成30年度の主な実施内容
(1)水源対策
①水源の確保 | |
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計画 首都東京にふさわしい高い利水安全度を備えるため、八ッ場ダム建設事業等を推進 到達目標 10年に1回程度発生する規模の渇水に対応する水源確保率 : 100%(令和2年度) |
実績 八ッ場ダム建設事業のダム本体のコンクリート打設工事や、地すべり等対策工事などを実施 10年に1回程度発生する規模の渇水に対応する水源確保率 : 93%(平成30年度) |
評価 八ッ場ダム建設事業などの水源確保の取組を着実に進めています。こうした取組によって、厳しい渇水の際にも給水が確保されます。
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②水道水源林の適正管理 | |
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計画 人工林の健全な育成のため、第11次水道水源林管理計画に基づき、間ばつ・枝打等の森林保全作業を着実に実施 民有林対策として、手入れが行き届かず、所有者が手放す意向のある多摩川上流域の荒廃した民有林を購入するとともに、ボランティアによる民有林の再生を実施 多様な主体と連携した森づくりとして、都民、企業、大学、地元自治体等多様な主体との連携を強化し、水源地の重要性の理解促進を図る |
実績 645haの森林に対して、森林保全作業を実施 平成30年度は52件・270haの民有林を購入 ※うち重点購入地域(土砂流出による小河内貯水池への影響が大きい地域)は42件・115ha 1,843人のボランティアが多摩川水源森林隊による森林保全活動に参加 平成29年4月から多摩川水源サポーター制度を開始 (平成30年度末時点の登録者数 : 1,543人) 平成29年4月から「東京水道~企業の森(ネーミングライツ)」の取組を開始し、平成29年度に6社、平成30年度に新たに1社の企業と協定を締結 平成29年4月から企業協賛金の取組を開始し、平成30年度は7社の企業から1,000,000円の協賛金を受入れ 平成30年3月から「東京水道 水源林寄附金」の受付を開始 平成30年度寄附受付実績: 寄附件数42件、募金15か所、寄付総額271,657円 |
評価 ・人工林の健全な育成 森林の成長状況に合わせた森林保全作業を実施することで、人工林を適正に保全・育成しました。 ・民有林対策 荒廃した民有林の購入を継続して実施するとともに、平成29年度より、特に小河内貯水池への土砂流出が懸念されるエリア約2,000haについて、所有者に対し積極的に売却を働きかけ、おおむね10年間での購入を推進していく取組を開始しました。所有者への呼びかけを行い、平成30年度末までに195ha購入済みです。 また、購入した森林の間ばつ・枝打等を行うなどして、水道水源林として適正に管理を行い、小河内貯水池への土砂流出の予防を図りました。 さらに、多摩川水源森林隊のボランティアの方々が間ばつ・枝打等の作業を実施することで、民有林の再生を図りました。 ・多様な主体との連携 都民をはじめとして、多くの方に水源地への関心を持っていただくため、平成29年度から多摩川水源サポーター制度を開始し、メールマガジンによる水源地の状況に関する配信を実施しています。 また、水源地保全の取組に貢献したいという方々から協力金を募る「東京水道 水源林寄附金」制度について、水道週間イベントをはじめ様々なイベントでPRを実施しました。 さらに、企業と協働して森づくりを行い、水源地保全への理解を促進することを目的とした「東京水道~企業の森(ネーミングライツ)」制度では、協定企業と森林保全作業体験などを実施しました。また、より多くの企業に水道水源林の森づくりに参画していただくための「企業協賛金制度」では、企業からの協賛金を頂き、水道水源林の保全作業に活用しました。 こうした取組によって、引き続き水道水源林としての水源かん養等の機能を最大限に発揮させ、適切に水道水源林を管理していくことで、 将来にわたって都民の水源地が守られます。 |
(2)水道基幹施設再構築
①浄水場の更新に備えた代替浄水施設等の整備 | |
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計画 大規模浄水場更新工事に伴い低下する施設能力相当の代替浄水施設及び関連する導水管・送水管をあらかじめ整備 整備目標年度 境浄水場再構築 : 令和3年度完成 東村山境線 : 令和3年度完成 境浄水場関連送水管 : 令和3年度完成 三郷浄水場増強 : 令和5年度完成 |
実績 以下を実施 ・境浄水場の老朽化施設の更新工事(完成) ・三郷浄水場増強に向けた先行施設の整備工事 ・東村山境線及び境浄水場関連送水管の整備工事 |
評価 ・対象年度の検証 三郷浄水場は、増強整備に先立つ施設整備工事を実施しています。 |
②導水施設の二重化、送水管の二重化・ネットワーク化 | |
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計画 災害や事故時だけでなく、更新等の工事の際にもバックアップ機能を十分に確保するため、停止することができない導水施設及び送水管を二重化 他系統からのバックアップ機能を確保するため、広域的な送水管ネットワークを構築するとともに、給水所への送水を二系統化 整備完了目標年度 第二朝霞東村山線 : 平成30年度 第二朝霞引入水路 : 令和4年度 第二朝霞上井草線 : 令和2年度 有明給水所関連送水管 : 令和元年度 多摩南北幹線 : 平成30年度 |
実績 以下を実施 ・第二原水連絡管(第二朝霞東村山線)の整備工事 ・第二朝霞上井草線の整備工事 ・有明給水所関連送水管整備の設計及び工事 ・第二朝霞引入水路の整備に向けた調査及び検討 ・多摩南北幹線の整備工事 |
評価 ・対象年度の検証 第二朝霞東村山線の整備は、想定外の大きな玉石の出現による度重なるシールド機械の掘進停止により、トンネル築造工事に遅れが生じたため、完成年度を令和2年度に変更しています。平成29年度にトンネル築造工事が完了し、平成30年度は、令和2年度完成に向けトンネル内配管工事を進めています。 第二朝霞上井草線の整備は、トンネル築造のための立坑工事において、軟弱地盤対策が必要となったことから、工事に遅れが生じました。これに加えて、朝霞浄水場内の既設管の移設等の追加工事もあり、完成年度を令和5年度に変更しています。平成29年度に立坑工事が完成し、平成30年度は、令和5年度完成に向けトンネル築造工事を進めています。 有明給水所関連送水管の整備は、トンネル築造のための立坑工事で、近接する共同溝の安全対策の協議や想定外のコンクリート支障物の出現により工事に遅れが生じたため、完成年度を令和2年度に変更しています。平成29年度に引き続き、令和2年度完成に向けトンネル築造のための立坑築造工事を進めています。 第二朝霞引入水路は、整備用地に関わる調査や設計に向けた整備内容の具体的な検討を進め、設計委託を発注しました。 多摩南北幹線の整備は、多摩水道運営プラン2017で完成年度を令和2年度に変更し、トンネル内配管工事を実施しています。 ・目標の達成に向けた主な課題 第二朝霞東村山線の整備は、複数の工区で同時に施工するため、隣接工区との適切な工程調整が必要です。 第二朝霞上井草線の整備は、4つの工区で同時にシールド工事及び配管工事を施工するため、綿密な工程調整が必要です。また、稼働中の浄水場や給水所内での施工については、施工方法等の詳細な検討が必要となります。 有明給水所関連送水管の整備は、シールド発進立坑を狭あいな用地内に設置することから、安全かつ確実な施工方法の検討が必要です。 第二朝霞引入水路の整備は、複数の施設を同時期に整備することから、適切な工程調整が必要です。 多摩南北幹線の整備は、東村山浄水場内の連絡工事に伴い配水池停止が必要なため、綿密な工程調整が必要です。 ・目標の達成に向けた今後の方向性 第二朝霞東村山線の整備は、トンネル内配管の綿密な工程管理により、事業を着実に進めていきます。 第二朝霞上井草線の整備は、各工区間の綿密な工程管理や適切な時期での関連工事の発注などを行い、事業を着実に進めていきます。 有明給水所関連送水管の整備は、シールド発進立坑工事の綿密な工程管理の実施により進捗を確保し、引き続くシールドトンネル工事及びトンネル内配管工事を着実に進めていきます。 第二朝霞引入水路の整備は、計画的に設計を実施し、適切な時期に工事発注を行うことで事業を着実に進めていきます。 多摩南北幹線の整備については、トンネル内配管工事に続き、立坑築造工事等を着実に行い、広域的な送水管ネットワークの構築を進めていきます。 |
③給水所の新設・拡充 | |
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計画 災害や事故時における断水等の影響が広範囲に及ばないよう、給水所を新設・拡充 整備完了目標年度 江北給水所 : 平成30年度 王子給水所 : 令和5年度 上北沢給水所 : 令和元年度 和田堀給水所 : 令和3年度 駒沢給水所 : 令和6年度 |
実績 以下を実施 ・江北給水所の整備工事(完成) ・王子給水所の整備工事 ・上北沢給水所の整備工事 ・和田堀給水所の整備工事 |
評価 ・対象年度の検証 江北給水所の整備は、場内整備及び通水準備工事を実施し、平成31年1月に完成しました。 王子給水所の整備は、平成29年度に土砂搬出のための土質調査を実施したところ、一部の箇所で基準値を超える物質が検出されたため、その安全対策等に万全を期す必要があることから、完成時期を令和7年度に変更しています。平成30年度は、平成29年度に引き続き、令和7年度完成に向け配水池築造工事を進めています 上北沢給水所の整備は、他企業構造物への影響を回避するため、その対策の追加等により工事に遅れが生じました。このため、完成年度を令和3年度に変更しています。平成29年度に土留及び掘削工事が完成し、平成30年度は、令和3年度完成に向け配水池築造工事を進めています。 和田堀給水所の整備は、平成29年度に引き続き、土留及び土工事を実施しています。 ・目標の達成に向けた主な課題 王子給水所、上北沢給水所及び和田堀給水所の整備は、狭あいな敷地内で複数の工事が実施されることから、施工方法等について詳細な検討が必要です。 ・目標の達成に向けた今後の方向性 王子給水所及び上北沢給水所の整備は、配水池築造工事の綿密な工程管理や安全管理を行い、事業を着実に進めていきます。 和田堀給水所の整備は、土留及び土工事の綿密な工程管理を行い、事業を着実に進めていきます。 |
(3)多摩地区水道の再構築
①施設の再構築 | |
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計画 老朽化の状況や事故時の影響等を勘案し、計画的に施設を更新・整備 地盤の高低差等を踏まえた効率的な水運用や維持管理を行うことができる配水区域へ再編し、施設を統廃合 整備完了目標年度 千ヶ瀬第二浄水所 : 平成30年度 千ヶ瀬第一浄水所 : 令和3年度 多摩北部給水所 : 令和2年度 幸町浄水所 : 平成30年度 柴崎浄水所 : 令和2年度 深大寺浄水所 : 令和4年度 奥多摩町の浄水所※ : 令和元年度 ※奥多摩町の浄水所 … 大丹波、小河内、日原 |
実績 以下の工事等を実施 ・千ヶ瀬第二浄水所整備の設計 ・多摩北部給水所の整備工事 ・幸町浄水所の整備工事 ・柴崎浄水所の整備工事 ・深大寺浄水所の整備工事 以下の工事を完了 ・大丹波浄水所の整備工事 ・小河内浄水所の整備工事 |
評価 ・対象年度の検証 多摩水道運営プラン2017において、各施設の完成年度を、千ヶ瀬第一浄水所は令和5年度に、柴崎浄水所は令和3年度に、深大寺浄水所は令和5年度にそれぞれ変更しています。 幸町浄水所は土壌汚染対策等に時間を要しましたが、令和3年度に完成予定です。千ヶ瀬第二浄水所は、関係機関との調整等により、令和4年度に完成予定となっています。 また、大丹波、小河内浄水所は工事が完了しました。 ・目標の達成に向けた主な課題 浄水所、給水所等の整備工事に当たっては、施設の停止を伴うため、給水に影響を与えないよう事前に水配調整の実施が必要不可欠です。 また、丁寧な住民説明などを行うとともに、近隣の住環境に十分配慮して工事を進めていく必要があります。 ・目標の達成に向けた今後の方向性 施設の再構築を着実に進めることで、多摩地区における給水安定性及び維持管理性の向上を図っていきます。 |
②送配水管のネットワーク化 | |
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計画 災害や更新工事等の際にもバックアップ機能を十分に確保するため、広域的な送水管ネットワークを構築 配水本管の新設及びネットワーク化など配水管網を整備 整備完了目標年度 境浄水場関連送水管 : 令和3年度 多摩南北幹線 : 平成30年度 |
実績 以下を実施 ・境浄水場関連送水管の整備工事 ・多摩南北幹線の整備工事 |
評価 ・対象年度の検証 コンクリート構築物の供用年数を踏まえ、浄水場の更新期間を約90年とすることで、浄水場更新及び代替浄水施設整備の着手時期等を変更しています。 境浄水場再構築は2020年代に着手時期等を変更しています。また、境浄水場関連送水管の整備は、境浄水場再構築に合わせて実施します。 境浄水場関連送水管の整備は、シールド工事用の立坑築造工事を実施しています。 多摩南北幹線の整備は、多摩水道運営プラン2017で完成年度を令和2年度に変更し、トンネル内配管工事を実施しています。 ・目標の達成に向けた主な課題 境浄水場関連送水管の整備は、複数の工区で同時に施工するため、綿密な工程調整が必要です。 多摩南北幹線の整備は、東村山浄水場内の連絡工事に伴い配水池停止が必要なため、綿密な工程調整が必要です。 配水管網の整備は、多くの工事が競合するため、各工事間での工程調整や進捗管理が必要です。 また、断水や交通規制に対するお客さまの十分な理解・協力を得ることも必要となります。 ・目標の達成に向けた今後の方向性 境浄水場関連送水管の整備は、綿密な工程管理の実施と計画的な工事発注を行う等の取組により、事業を進めていきます。 多摩南北幹線や配水管網の整備を着実に進めることで、災害や事故時等における給水安定性の向上を図ります。 多摩南北幹線整備 |
目標管理も併せてご覧ください。
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