「東京水道経営プラン2016」に掲げた施策

Ⅰ 基幹ライフラインの運営

Ⅰ-2高品質(安全でおいしい水の供給)

 

令和2年度の主な実施内容

(1)水質への適切な対応

①原水水質に応じた浄水処理
計画 新たに利根川水系の原水を処理する境浄水場には、オゾン及び生物活性炭による処理を導入

多摩川水系における原水水質に応じた浄水処理の導入

多摩地区施設の再構築に合わせ、原水水質に応じた浄水処理を導入

整備完了目標年度
境浄水場再構築   :  令和3年度
千ヶ瀬第二浄水所  : 平成30年度
千ヶ瀬第一浄水所  : 令和3年度
幸町浄水所     : 平成30年度
柴崎浄水所     : 令和2年度
深大寺浄水所    : 令和4年度
奥多摩町の浄水所  : 令和元年度

※奥多摩町の浄水所 … 大丹波、小河内、日原
実績

以下の工事を実施
・境浄水場再構築の設計
・東村山浄水場粉末活性炭注入設備の設置工事

以下の工事を実施
・千ヶ瀬第二浄水所の整備工事
・幸町浄水所の整備工事
・柴崎浄水所の整備工事
・深大寺浄水所の整備工事

評価

・対象年度の検証及び平成28年度~令和2年度の総括
 東京水道経営プラン2016の計画期間中、小作浄水場で中間塩素処理、東村山浄水場で粉末活性炭設備の整備を行い、より一層安全でおいしい水の安定供給につなげることができました。
 また、コンクリート構築物の供用年数を踏まえ、浄水場の更新期間を約90年とすることで、浄水場更新及び代替浄水施設整備の着手時期等を変更しています。
 境浄水場再構築は2020年代に着手時期を変更しています。
 境浄水場は、再構築の着手に向け設計を実施しています。
 東村山浄水場において、粉末活性炭注入設備の設置工事が完了しました。
 千ヶ瀬第一浄水所の完成年度は、多摩水道運営プラン2017において令和5年度に変更しています。
 千ヶ瀬第二浄水所は、住宅が近接していることから、杭の打設方法を低騒音・低振動の工法に変更したこと等により、東京水道施設整備マスタープラン(令和3年3月)において令和6年度に変更しています。
 幸町浄水所は、土壌汚染対策等に時間を要しましたが、引き続き整備を進めており、令和3年度に完成予定です。
 柴崎浄水所の完成年度は、工事搬出入車両に関する交通管理者等と協議の結果、出入口の見直しにより仮設工を追加する必要が生じたこと等により、東京水道施設整備マスタープラン(令和3年3月)において令和9年度に変更しています。
 深大寺浄水所の完成年度は、既設配水池を撤去する際、コンクリートの底板厚が完成図より厚く、想定より撤去に時間を要したこと等により、東京水道施設整備マスタープラン(令和3年3月)において令和10年度に変更しています。
大丹波浄水所及び小河内浄水所は、平成30年度に完成しています。

・目標の達成に向けた主な課題
 浄水所、給水所等の整備工事に当たっては、既存施設を停止して工事を行う場合、給水に影響を与えないよう事前に水配調整の実施が必要不可欠です。一方で、既存施設を運用しながら工事を行う場合は、工事より既存施設の運転管理等に影響が出ないよう、適切な工程調整が必要です。
 また、丁寧な住民説明などを行うとともに、近隣の住環境に十分配慮して工事を進めていく必要があります。

・目標の達成に向けた今後の方向性
  境浄水場の整備は、綿密な工程管理の実施と計画的な工事発注を行う等の取組により、事業を着実に進めていきます。
 完成した粉末活性炭注入設備を活用して、原水水質に応じた浄水処理を行い、より一層安全でおいしい水を安定的に供給していきます。
 多摩地区施設の更新に合わせ、原水水質に応じた浄水処理の導入をそれぞれ進めるため、引き続き綿密な工程管理や計画的な工事発注などを行い、事業を着実に進めていきます。

千ヶ瀬第二浄水所整備

②水質管理の徹底
計画 国の基準よりも高いレベルの「おいしさに関する水質目標」を設定し、目標達成に向けた取組を実施 実績 残留塩素以外の「おいしさに関する水質目標」の達成率について100%を達成しており、残留塩素についても約90%を達成
評価 ・令和2年度は、高度浄水処理や適切な浄水薬品の注入などにより、「おいしさに関する水質目標」をおおむね達成することができました。
・これにより、東京水道経営プラン2016の計画期間の5年間、いずれの年度においても残留塩素以外の目標の達成率は100%達成し、残留塩素についても約90%を達成することができました。
③TOKYO高度品質プログラムの充実
計画 最新の知見や調査研究を基に、水質管理の総合的なマニュアルである「TOKYO高度品質プログラム」を充実 実績 水道を取り巻く社会状況の変化等を踏まえ、「TOKYO高度品質プログラム」の見直しを実施
評価

PDCAサイクルによる「TOKYO高度品質プログラム」の適切な運用を行いました。
・これに加え、令和2年度は水安全計画について、以下の内容を含む見直しを行いました。
 -水質異常発生時の対応を分類・集約し、マニュアルのスリム化を図りました。
 -要検討項目に位置付けられている化学物質の浄水処理性を確認し、結果をマニュアルに反映しました。

・東京水道経営プラン2016の計画期間においては、PDCAサイクルによる運用のほか、専門家との意見交換、様々な化学物質の浄水処理性の確認、毒物検知に対する対応強化など、「TOKYO高度品質プログラム」を充実させることで、水質管理の更なる強化を図りました。

(2)直結給水方式への切替え促進

①直結給水方式の普及促進PR
計画 貯水槽水道の点検調査実施時等に設置者に対して直結給水方式への切替えをPR 実績 貯水槽水道の設置者に対して、管理状況を把握するための調査票を送付し、現状を確認するとともに、貯水槽水道の管理について掲載したパンフレットを配布するほか、HPにて幅広くPRを実施
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、例年実施している設置者に対しての対面での説明や聞き取りは行わなかった
評価  増圧直結給水方式を導入することで、高層建物や大規模な集合住宅等でも直結給水方式の採用が可能になり、近年の新設ビルやマンションでは、9割程度が直結給水方式を採用しています。
 一方、新設ビルやマンションに比べ、既存建物における切替えは余り進んでいないことから、引き続き、貯水槽水道の設置者に対して、直結給水方式に切り替えた場合のメリットを説明し、切替えのPRを実施していきます。
②小中学校の水飲栓直結給水化モデル事業
計画 蛇口から水を飲むという日本の水道文化を次世代に引き継ぐとともに、区市町及び私立学校法人に対して小中学校の直結給水化を促進
平成28年度までに給水区域内の3割の小中学校で直結給水化を達成したが、区市町ごとにみると3割に満たないところもあるため、平成29年度から令和2年度までの期間で、実施率の低い区市町や私立学校を対象にフォローアップを実施(対象枠:60校)
実績 令和2年度は8校の小中学校で直結給水化を実施
評価

 平成28年度までに、事業目標である給水区域内の3割の小中学校で直結給水化を達成しましたが、区市町ごとにみると、校舎の耐震化等を優先するなどの理由により実施率が3割に満たないところもあるため、平成29年度から、実施率の低い区市町や私立学校を対象にフォローアップを実施しました。
 フォローアップは、令和2年度までの4年間で、60校を対象として実施してきました。フォローアップの対象となる区市町に対して個別に訪問し、直結給水化を既に実施している学校のモデル事業による効果や工事内容の説明等を行い、その結果希望のあった計38校で水飲み栓を直結給水化しました。  

 その後、直結給水化実施校においてアンケート調査を実施したところ、学校の水道水を飲む小中学生が、工事実施前の69%から工事実施後には81%に増加し、家から持参した水筒の水を飲む小中学生が27%から13%に減少するなど、実施校の小中学生に直結給水化のメリットを実感していただけたことが分かりました。

 また、同アンケートにおいて、「給排水設備の更新時期や校舎の増改築工事に合わせて、自費による直結給水化を検討する」との回答もあり、区市町みずからの取組として直結給水化が実施される傾向がみられるなど、所期の目的である直結給水化のPRや、その促進効果が発揮されております。

 こうしたことから、事業目的は達成したため、本事業については令和2年度末に終了致しました。

③直結給水方式への切替え促進のための取組
計画 到達目標
直結給水率 : 73%(令和2年度)
実績 直結給水率 : 76%(令和2年度)
評価  計画では、令和2年度に直結給水率73%を到達目標としていましたが、平成28年度末に直結給水率が73%となり、目標を達成しました。令和2年度も継続して取組を進め、年度末の直結給水率は76%となっており、経営プランに掲げる10年後の目標値75%を達成しました。
 このように、貯水槽水道方式から直結給水方式への切替え促進が一定程度達成したため、直結切替え見積りサービスについては、令和2年度末をもって終了しました。
 今後も引き続き直結給水方式への切替え促進に向けPRするとともに、直結切替えに伴う給水管増径工事等の支援策を実施していきます。

目標管理も併せてご覧ください。

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